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「余白の風」第76号  

2002/8/15 発行:平田栄一


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●余白 題名:『マタイ伝』



花冷えの一灯ほのかマタイ伝        奥村 花



小さな灯のもとでマタイ伝を読む作者。桜咲く頃の夕刻の寒さが身に沁みてきます。
 『マタイによる福音書(伝)』(紀元八五年頃)は新約聖書の巻頭を飾る有名な福音書です。歴史的には二番目の『マルコによる福音書』(紀元六五年頃)の方が古いのですが、四福音書のなかで最も長く、一番まとまっているなどの理由からか、順序が逆になっています。
 そこで新約聖書を初めて手にした人は、この『マタイ』から読むことになります。すると、最初にアブラハムからキリストに至る長い系図が出てきます。この部分はユダヤ教のメシア待望思想についての理解がないと、退屈してしまうのではないでしょうか。
 その直後に処女降誕の話があって、さらに五章からは「兄弟に腹を立てる者は裁きを受ける」(5:22)「敵を愛せよ」(5:44)といった「山上の説教」が続きます。ふつうに読んでいけば、これはもうついていけない、ということになりかねません。
 本来、ユダヤ人キリスト者に向けて書かれた『マタイ』は、律法をはじめユダヤ教とのつながりを重視するため、わたしたち日本人には四福音書のなかで最もとっつきにくく、キリストの教えを非常に厳しいものと感じさせてしまうのではないかと思います。掲句の上五「花冷え」には「マタイ伝」がもたらす、そうした緊張感・厳しさが象徴されているかのようです。
 しかし他の三つの福音書を含めて新約聖書全体を通読した後、もう一度『マタイ』に戻ってじっくり読み直してみると、「最も小さい者」(25:40他)に寄り添い、「世の終わりまで、共にいる」(1:23、28:20)イエス、神の姿を鮮明に表現している信仰告白の書であることがわかってくるのです。中句「一灯ほのか」には、そうした神の愛への信頼が込められています。




●島 一木 題名:教会のある風景 その2 六月


六月やミサに行く母杖をつき

説教にパンのことなど蟻の道

祈るまも紫陽花変化わが心

天国はいかがと揚羽蝶来る

軽口も楽しミサ後の草取りは

十字持つ十薬も抜くミサの後

聞こえくる聖歌練習草を引く

梅雨晴れや卓をこぼれるパンの屑

火蛾の影ロザリオ祈る蝋燭に

明け易きロザリオを手に早ミサへ


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Res:島 一木 題名:主の平和 その1

蒔く人に蒔かれて種は芽吹きます

主よどこに 一番みすぼらしい人に

秋日さす目からうろこの落ちるとき

よい木々はよい実を結ぶ ぼくの木は

幼な児に博士ぬかずく星月夜

天国には入れません幼な児が先

幼な児のように小さな花が咲く

気をつけて羊の服のおおかみに

ゆるせ七の七十倍 いやもっとです

パンのみに生くるにあらずワインもね


  教会のある風景 その3 七月

ミサの鐘鳴り終わるまで朝曇り

ミサベール忘れて白きハンカチを

聖家族みな素足にてつつましき

マリア像その素足の先に手を触れぬ

信徒館取り壊されゆく日の盛り

マリア像西日を浴びてなお白く

雷鳴や誰かが罪を犯している

教会の木には天道虫がいる

教会の庭に宵待草も咲く

聖歌隊大いにビール飲み食らう

Res:あこ  題名:パンのみに生くるにあらずワインもね あははは!!「ワインもね」 おっととととと、フェイント。って感じでかわいいです。 Res:余白  題名:紹介 島さんはカトリック信者で、「層雲」にいたり、今も「豈」の同人で、なんかぼくと共通点が多い、定型のベテラン作家です。句集も出しています。


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●比田井白雲子 題名:パソコンありませんのでよろしく。


もらってうれしい 風のおやつ

私のなかにいたあなた 風

こんな私にとんぼ止まりに来てくれる

余白さん<定型で一流に近づきつつありますね。私はテレジアの霊性を求めて(道元の自己を忘れること)、それを今の自由律で表現していきたいと思います。


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Res:あこ  題名:おやつ!風のおやつとは、絵に描いたモチみたいなものかなー。そんな「かなしい」ものじゃなくてもっとうれしいものかなー。比田井さんがどんなおやつを想像したのか知りたいなー。と思います。 Res:余白>私のなかにいたあなた 風 風に呼びかけている、人格として気づいていますね。キリスト者は、「風」=プネウマ=聖霊、と発想しますから、人格として呼びかけることは、単なるメルフェンじゃないのですね。


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●あこ  題名:トマト!


路地植えのトマトはちきれ夏来る

Res:あこ  題名:ちがうトマト↑ 不満なのでちょっと変えます。



ビキニ着て完熟トマト頬張れり



Res:あこ 題名:?!なんかビジネスジャンプのグラビアのコピーみたいな句になってしまった?!
意図としては、頑張ってビキニきてるけど、おやつに畑から採ってきたトマトを食べる田舎娘のトホホな心境をうたってみたかったんですが~(笑) Res:余白 



路地植のトマト頬張るビキニかな 

あこさんの趣旨を生かして、二つの句をミックスしてみました、ププ。


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●1年生  題名:初投稿

なんとなく思いました・・・


現代のクーラーよりも夏の風


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Res:余白 「昔のクーラー」と比べたら、どうですかね?まだ、生まれてないか・・・。


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●猫目  題名:投句


復活祭鳥にも頒つパンと水


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Res:余白 題名:返評です ようこそ、猫目さん。掲句の「パン」で、聖体拝領を思いました。カトリック教会はなかなか他教派に拝領を認めませんが、鳥に神父が聖体授けていたら、面白いねー。動物だって、神様の救いに預かりたいよねー。


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●あこ  題名:なつ


歳時記を読みてすぐ飽きスイカ食う


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Res:余白  題名:S音 「歳時記」のSA、「すぐ」のSU、「スイカ」のSU。S音の連なりが、スイカのサクサクした感じ、夏の雰囲気を効果的に表現していますね。 Res:あこ  題名:怒 

怒るべき怒り放ちて夕涼み

Res:あこ  題名:ちがう怒 

癇癪玉うまく弾けて夕涼み(どっちもこっちか・・・・)

真っ黒な森分け入りて湿気吸うどろどろとした夏よまた来い

Res:余白  題名:どっちがいいか>怒るべき怒り放ちて夕涼み>癇癪玉うまく弾けて夕涼み ぼくは、あとの方がいいと思います。「~べき」という作為より「うまく」と自然体の雰囲気があるから。


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●余白  題名:「海程」8・9月号3句



命疲れ春宵に酌む赤ワイン

和せぬまま別れる雲の速さかな

夢高く居眠り難き花水木


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Res:猫目  題名:寸感○和せぬまま別れる雲の速さかな 作者の気持ちが、雲に投影されているのですね。雲に命が感じられます。○夢高く居眠り難き花水木 この句も、花水木に作者の気持ちが乗り移っているのですね。ただ、「居眠り難し」と一応切ることも、考えられますね。私は、その方が好きですが。先日、この句会をネットで見つけて、始めて投句させて頂きました。勝手な批評をお許し下さい。 Res:余白 結社を「海程」から「紫」に移籍しました。


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●ブライダルの司祭  題名:十字架行進



肩に来る 十字架行進 恵み満つ。


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●警備のおじ  題名:警備員の夏、日本の夏♪



炎立つ 坂上指して 笛響く

雨よ降れ 同僚の声 夏近し

入梅や これが恵みの 通り雨

(クリスチャンの警備員として・・・)

木々の間に ほめ歌 響く 蝉時雨

断食に 祈りも細き 聖金曜日(きんようび)

青年の家に 祈りの夏 開く

聖会を 招く海にも 風薫る

(堅信を受けられた2姉妹思って)

永き道 臨みてすずし 堅信礼

柔和なれ 主も交われば 夏遍路

炎たつ 信仰坂に 道迷う


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Res:テレジア おじさん、お久しぶりです♪お言葉を、有難うございます~堅信の秘蹟に与ることができ、あたたかい勇気をいただきました。夏らしい歌句がいっぱいなので、合せてみますね

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あんず飴 夜店をうたう ぼんぼりか

七夕と いへども会えぬ 瞳あり

朝顔の いのちで染める 衣かな

麦茶煎れ いつしか母に 似る我か

百合の香は 髪梳く夜に ほほえみて

貝殻に 耳を澄ませば 神の声

洗い髪 しずくつもりて 梅雨は明け

待者の子の 柔きしぐさで 西瓜食む

落つる陽を 吸い給ひて 聖水盤

くじら雲 抱かれ泳ぐ 神の愛


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後記: 「風」の連載「井上神父の言葉に出会う(4)」を仕上げ、「聖母の騎士」から依頼のあった10月号巻頭エッセイも送稿し、今はクーラーのない社会科準備室で、蝉の声に励まされながら、ライフワーク「キリスト俳句探訪」を少しずつ書き進めている。

例年通り、先日井上神父のお宅におじゃまして、寿司をつまみながら、あれこれ話し込んできた。健康の話題から始まって、教育・文学・哲学・神学・教会論とりとめなく語り、4時間あっという間に過ぎてしまう。若い頃は記録をとるためにノートをとったり、テープレコーダーを持ち込んだりして、「いいかげんしろ」と怒られたこともあった。今はもう、知り合いを引き合わせるために連れて行くこともない。話の内容より、井上神父の「まなざし」を心に刻み、忘れないように、一年に一回のチャンスを大事にしょうという一心だけである。75歳になる師の酒量は毎年たしかに減ってはいるが、内に燃える志には今も圧倒されるばかりである。



この夏休みは例年になく学校によく出ている。教員に対する管理がどこの学校でも厳しくなってきて、家庭での研修を許さない風潮がある。世間では、「学校の先生は夏休みがあっていいですね~」なんて、皮肉を言われることもあるが、どっこい教師は家庭にいても、けっきょく教材をあれこれ考え作っていたり、研究テーマに没頭しているのが普通なのだが・・・・。残念ながら、一部の教師の評判が一般化されてしまっている。私の場合は、どこにいたって研究はできるのだが、まさか書斎の資料を全部学校に運ぶわけにもいくまい。不便ではある。
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