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平田栄一求道俳句1988年発表作品  

1988年12月

夏の昼下がり蝶の死軽々曳かれていく

祖父の愛した山高帽そっと秋陽に置く

芯熱残る体もて余している秋の夕暮れ

重患に耐えて神の存在疑わぬ淋しい笑顔

秋陽はや傾く店先に無口な鸚鵡が売られている

1988.11

問いただす程口つぐむ子の頑なに揃えた指

差し出した手に温もり残して退めてゆく子

踏み締めた草に濡れて素直な気持ちに還る朝

待っても鳴らぬ電話の人恋しい雨音ばかり

秋の朝靄をカンバスにパステル画風の町並み

芯熱残る朝の梅雨空が重い

1988.10

寄る辺ない夜の灯へ黄金虫舞い込む

雨垂れ傘に重く待ち合わせの刻過ぎている

小さな胸痛むことのあり積み木積んでは崩す

1988.08

古里へ帰る鳥か朝日に真向うて二羽

箸持つ手の重く昨日の疲れ抜け切らぬ朝

夕陽に火照りレモン切る妻の艶めく

墓石一斉に夕日へ向いている花冷え

点滴につながれた命の極みを見つめる

私の命に確かな朝がきている

子を叱った夜の雨軒をたたき続ける

雲染める間の夕陽がとらえた街のスナップ

雨音五線譜にのせ退屈な夜を弾く

1988.05

読み返すことのない日記の十五年の重さ

少し疲れた冬夜のワイン赤い影もつ

妻の箸の椀に触れる音も病み上がり

1988.04

神棲む森に遊んだ少年期の痛む

梢かすかに揺らす黄昏の風のモノローグ

議論めくこともなくなり子を見せにくる友

何もかもうまくゆきそうな月夜の下駄鳴らす

セピア色の頁が風に踊る復古調の夕暮れ

1988.03

熱燗の首つまんで実はと切り出す

雑踏の中の無情な一人として靴鳴らす

花時計花盛り緩やかに季が巡る

1988.02

冬陽が斜めに切り取ってゆく病棟の一日

人気のない時間が夜の深みへ蛇行する街

犬の遠吠えが悲しげな冬空の満天の星

まなこ地を見据えて老犬病んでいる

不治の病人(ひと)見舞った日の妻強く抱く

色褪せた街の釘のような人影
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category: 平田栄一求道詩歌(2)

tb: 0   cm: 2

コメント

>不治の病人(ひと)見舞った日の妻強く抱く

自由律作品としては、代表句として自選する句。
句意はストレートだが、事実この年、妻の叔母ががんを患い、二人で見舞った。

余白 #oBO5MkqQ | URL
2006/01/14 19:54 | edit

自由律最盛期

>1988.02

冬陽が斜めに切り取ってゆく病棟の一日

人気のない時間が夜の深みへ蛇行する街

犬の遠吠えが悲しげな冬空の満天の星

まなこ地を見据えて老犬病んでいる

この時期は、自由律時代で一番あはりきっていた時期。
句が生きていると、今でも思う。

余白 #oBO5MkqQ | URL
2006/01/15 20:47 | edit

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