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平田栄一求道俳句1991年全作品  

1991年12月

なんでもそろってなにかと不自由

風鈴自在に朝の水中感覚

風に惑う朝の欲情

回廊の暗がりへ一族解体する

1991.11

午前零時の愛は分裂症的かもしれない

泊り明けの欲情炎天を帰る

陵に立つ稲妻 倭人の乳房揺れ

夜半通り雨 自画の森駆け抜け

精液の温もり程には愛の真実

月を射程に入れ非核都市のパラボラ

黙示録読み継ぐ放射能半減期

未定稿溜まる夜毎白い夢

返り血浴びて受験子花に埋もれ

聖夜言の葉降る S町某所にて

春に死す花のアンビヴァレンス

耳底へ降りてきた中年の足音

月満ちるとき花は花を忘れて咲く

中也の、ボードレールの夕陽から鳴呼一歩

春、カスタネットの口が蛇を噛む

酔客マンホールへ電気時計無音

1991.10

亡父の書棚ひそと原色人体図鑑

文学する月の体温掌にのせ

美醜あたためあたため雲と化す

私を遠巻きにして夜の蟻

君と噛むレモン 天地を引き入れ

クルス抱く無名氏に憧れてしまう

胡桃割る情死を月が予感する

無菌室に桜咲く夜の絶唱

昼酒のきくに任せて墓を掘る

身篭った女と、男の夜の死角

春歪む手擦れた遺書の膨張率

耳ある壁に吊す花の磔刑図

詩写三昧欠勤つづく参謀長

月夜の海体内時計遅れがち

モンタージュの顔ビルに密生する

アバ霊(たま)よ街から街を吹き抜ける

1991.09

原書重く夏型思考回帰する

背を丸め大正生まれの父である

春一番その日ヌードポスター豹変す

雲ひと日動かぬ地の狂人と化す

繚乱の街に神父ぬるい血を吐く

夕べ雲焼く空へ憎しみの緒を解く

蛇がのたうつ初夏のてのひら

時が満ちてくる地平線の初穂

1991.08

人間礼讃カナの遺書風に舞い

めくるめく夏失楽園の我が生業

ポストの隙間から我が家を覗く

風、子を叩く父を破門する

春雷の行間に神遊ぶ

春しぐれ 鉄錆に酔う

1991.07

言葉のバベル ファジー論持てはやす

朝、行きずりの葬列に微笑がある

陶器片、風すさぶ地のその昔

菜の花発光 細密描く手が震え

行き倒れてどぶの星空怒涛

ティシュ抜く一枚の饒舌な夜

ルーチンはねた短日に斜線

1991.06

未決囚が笑う月夜のオカリナ

ティッシュ抜く一枚の奔放な夜

ふやけた朝の二十四時間ショップ

轟々父焼かれる日の振る舞い酒

卑弥呼伝説 要塞に鳩を置く

冬帽吊す天の糸無限

戦禍告げる無言の速報文字

黒い雨苦よもぎ萌えいづる

高圧流れる街のストイックな夜

蛍光灯唸る二日酔いの人体図

A型の自問自答 マリモ浮沈する

二又を西へ東風先駆ける

素粒子の胃の腑の街を棲家とす

神が身投げした不凍湖の夕陽

春夢にレ点打つ魚眼こぼれる

失踪する夏夜の指紋乱れる

花びら舞う道で神隠し

ひと筆書き連ねよ子の振り子

パズルめく冬へ白蛾泳がす

呑んべと下戸が居並ぶ人祖(アダム)の縁

1991.05

稲妻射す街の塑型 鳥の首がのびる

冬ざれの白い陽へ吹く変調ラッパ

聖夜をはみ出たマリオの肢体

書き上げた右手の寒さ煙草を切らす

自画いりませんか捨て場さがしてる

毅然と夜のしじまの白い球体

1991.04

過労死認定セズ花曇リノ朝ノ常夜灯

風の死角で草笛吹くとき眩暈

人焼く匂い憶え霧の貨車失踪

神への不信きしきし風笑う

子を連れた女が訪うキリストの系図

1991.03

一日を細切れにして夕べ不整脈打つ

轢死体そのまま冬の街を結紮する

薬の匂い沁みついた父の軍属談

反古焼く匂い鼻にし朝の決意ゆらめく

心の定点越えそう乾いたマッチ擦る

十三階のしじま留守録ビデオ廻り出す

1991.02

失業中きのうと同じカーテンの位置

仮面脱いだ二十五時の客

解読不能幾何学の街並閉じたまま

無口な女の酒匂う鬼の館という店

へのへのもへじが黙殺した風の証言

闇からくわえてきた春の体臭

1991.01

過不足なく働き、何か足りない

告白に揺れる鳥のいない鳥篭

約めた生がガラス透かす蝶の標本

父を呪った日から詩が生まれる

不埒な影が月の負圧に閉じた耳

地下室凍結卵ねむる 脚本ページ白い

カードにのびた触角が明日を占う
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