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平田栄一求道俳句1993年全作品  

1993年12月

夜を徹し母堂の五臓縫い合わさん

母が子を思う想いの末は四次元に

都市百年廃墟の窓からバラ燃やす

中年へずらすベクトル揚羽蝶

神欲す抽象語の山堆く

順路ヒトを定義してゆく科学館

春風と五体ぎしぎし交尾する

三姉妹の髪濡れている交差点

蟻地獄の蟻と遊ぶや歌日記

美少年Aいつから鍵穴を覗く癖

射祷(マントラ)くり返し赤ん坊は空を飛ぶ

それなりに言い分はある死の態(かたち)

キー叩く痴呆の父を羽交い締め

湖へ虚数の蔓延る右脳なり

1993.11

石の悲憤夜に冴える

死と云わず闇と云わず壷中閑

顎骨出土男族何故死に絶えし

宣教師の立つ断頭台を抜ける空

正弦の記憶朧に鳥ら群れ

意を決し第二イザヤに朱を入れる

1993.09

麻酔が効いてきました仕事します

行き倒れてソープランドの逆さ看板

肩幅のモーメントで稼ぐ今日の糧

そっと下りそっと背を見て上がる

カナで聞く老人ホームの位置春景色

野獣一匹棲まわせ薔薇の家

墓へ向う夕景の被写体

黎明の夢永眠の夢の中

1993.07

旅立つ朝の点景として犬の屍

蒼穹から逆しまに立つセミクジラ

校庭に張り詰めた夏の微笑

なだらかに老いてゆく連記式日記

産声以前 たしかに溜息

1993.06

物憂い月 更紙を拾う

古里へ投げた言葉がとどかない

満天の星降る海へ殉教する

白夜を去く柩車花びら踊らせて

西方の風が落した閻魔帳

絹纏いし薔薇の鳴咽や溺死体

花に来る蜘蛛を殺める熱帯夜

風月花鳴呼脛毛を隠す男ども

1993.05

或る事件或る文体を感染する

独房に溢れる夜景の余白

四旬節の月光致死量に充つ

風が吹くオカリナの夢は乳色

銀座三越裏で買う最上の骨壷

書庫に眠る掛時計とロゴスの饗宴

指鉄砲からジョークが消えてる、月

記憶喪失バーコードを読む赤い窓

蝶ひとひら 改札で呑む強心剤

1993.03

母子カプセル メイドイン ホワイトクリスマス

こんぐらがった糸を辿り彼岸に佇つ

一句が最期の糧となる

合わせ鏡の奥の奥 黒蝶睦み合う

微笑隠す象牙店のクリスマス

年々歳々胎児の泪は星の砂

都会(まち)の微粒子を吸い<コギト>の僕

新興地のあいまいな風 蛾もいない

アースに触れた夕日 もう泣かない

無灯火の道 春は流れる

入水する母を見送る羽脱け鶏

西向きの書斎FAX暴れまくる

口ごもる夏の木の葉耳鳴りする

ロマネスクの月裸木に添い寝する

亡者集う茶箪笥の奥の水晶玉

突発性難聴 コトバ遊びはほどほどに

精液を朝湯に流す大晦日

股間にそえた手から地球爆発

宇宙線乱射 荒野へ倒れ込む

カミ訪中 唐変木は寝ています

苺畑に代数幾何が落ちていた

血も花も黙して受けよ風の裸婦

1993.02

訃報聞く朝の冷たい受話器

黄道の尻尾を掴みゴルゴダは芽吹く

神います正造の聖書(ほん)と石三つ

齢(よわい)重ね耳奥に棲みついた処女

肥大都市に赤い妖精うずくまる

十字架上ダビデの命狂い咲き

バイパス駆け抜け蒼い心臓ほくそ笑む

1993.01

夜光虫夜の髭剃って街へ出よう

ビン詰めの恋文の始末に弱り果て

政局見放され等高線をなぞる蟻

錐揉みに蝉の末期 海めくれ

病みほうけた友の童顔

マロニエの株ひび割れて熱ある午後

文字のない聖書(ほん)抱きしめ死者の円居

瀕脈鈍脈たおやかに眩暈

蝶の舞う崖っぷちに佇つ午後三時

現身を厭う蛍光灯の青い影
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コメント

未生の溜息

>産声以前 たしかに溜息  1993.7

次男・三男の出産に立ち会った。
忘れられない感動があった。
苦しむ妻の傍らで、いっしょに息を合わせる。
産道を通って、ようやく出てきたわが子は、羊水の膜に覆われていた。
一瞬の沈黙があって、「おぎゃー」と産声を上げる。
その一瞬の沈黙に「溜息」を聞いたような気がした。
あの溜息は、どんな意味だったのだろう。。。

余白 #oBO5MkqQ | URL
2006/01/19 16:39 | edit

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