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要約・平田講座1(1)--100回記念特集  

来たる10月27日は、南無アッバの集い・平田講座が100回目を迎えます。

これにちなんで、本講座記録の抜粋をアップしていきます。

まずは、その第1回から--

〇九年八月二十二日(土)、四谷ニコラバレ会議室にて

講師:平田栄一

早いもので、井上神父様にわたしが最初にお会いしてから二十九年が経ちました。

そのいきさつは今度の新刊『すべてはアッバの御手に』(聖母の騎士社)のプロローグに書きましたが、先ほど計算してみましたら、最初にお会いした一九八〇年といいますと、神父様が五三歳のときなんですね。

実はわたしが、いま五三なんです。

ですから、今のわたしの歳の神父様にわたしが会っていたんです。

だけど、今のわたしがもし、わたしのような青年に会って、「いっしょにお酒を・・・・」なんて言われたら、きっと断ると思います(笑)。

なんとなくかまえちゃうと思うんです。

でも、井上神父様はそうじゃなかったんですね。

すーっと会ってくれて――だいたい初日からお酒に誘われちゃうんですから(笑)。

それは驚きますよ、それまでのわたしは神父に酒を誘われるなんて、思ってもみなかったですから。

もちろんうれしかったです。


 それからお酒が病みつきになったわけではありませんが、神父様の所に行くと、まず、神父様の本にあちこち赤傍線を引っ張ったのを持って行って、「先生、ここにはこう書いてあるんですが、こっちにはそうじゃないのは・・・・」みたいなことを質問します。

するとたいてい、あまりいい顔はされない(笑)。

それで、「あなたみたいに、人が書いた本に線を引いてきて、本人の目の前でこれはおかしいって言う人は初めてだよ」などと言われました。

しかし、とってもよくしてくださって、本当に感謝しています。


 さて、お配りした図版の方をごらんください。

講座1図


ここに丸を二つ描いて、その中を矢印が貫いています。

これはどういう意味かと申しますと、今、わたしの方で自分のことを随分しゃべってしまいましたが、やはり、わたしだけでなく、皆さんの求道生活は、さまざまな環境、事情のなかに置かれているわけです。

わたしのように、就職浪人から具体的な求道が始まった人、あるいは学生さんで学校浪人がきっかけとか、御病気で長く療養されているとか、ご家族にいろんな問題があるとか・・・・。

で、そういうことと、井上神父様が書かれた本なり、ミサでのお話なり、いろいろテープや講演、NHKなどのお話などを聞かれたり、読んだりしたときに、これはまったく別の人――あの方はすごく偉いから、そういうふうに信じられるのだ、という感じで思っていると、いつまでも先に進まないんじゃないか――わたしもそうでした。

つまり、偉くてすごい、というところばり見ていると、自分との間に垣根というか敷居を作ってしまうことになる。

ですから、どこかで接点、この図でいうと、丸と丸が重なってる部分で共感をもって求道する。神父様の本を読んで、たまたま手に取った一冊がピンとこなくても、別のもので、神父様の求道生活を私たちの求道生活が追っていくような考え方でいけば、少しずつでも成長していくのではないかと思います。


 どうしてこんなことを最初にお話しするかというと、これは、神父様の本の読み方ということだけでなく、あとでまたお話しするかと思いますが、こういう感覚の問題が、キリスト教の原点と関係があると思うからなんです。

どういうことかというと、キリスト教の原初的な体験というのは、カール・ラーナーの言葉を要約すれば、「人間イエスは救われた。だから同じ人間であるわたしたちも救われる」という、単純素朴な一事でした。

つまり、イエスがキリスト=救い主だと断言できる原点には、イエスとぼくらは同じ人間なんだという感覚が、当時の人にあったということです。

誤解を恐れずにいえば、それがないとキリスト教は始まらない。

あの人は俺たちと違って、偉い人なんだ、出来が違うんだ、といった感覚だけじゃ、キリスト教は始まらなかったのです。


つづく
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