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平田栄一求道俳句1997年全作品  

1997年12月

世紀末空席の繰り言

テーブルの向こうに手の届かぬ闇

僕は部屋に、家族は家に、日本は極東に引きこもる

創句の良心 〝一言〟が言いたいばかりに言葉を弄す

だんだんカード化されていく人間

1997.11

踊るシャツやパンツやハカマ言い訳せず

生きがいを失ってじっとゆで卵

書かねば狂気 鳥肌立つ

狂女もだす北斗星流れ

スライダーで来る太陽光の金属音

アツミキヨシが病床洗礼を受けたとさ

地を這い天を仰ぐ蔓に励まされた

少年よ、人生と折り合わねばならぬときが来る

1997.10

煙草くゆらす修道士 千年ジャムを煮る

ベクトル担ぎ明日は何処へ

合わそうとするほど合わない人生の帳尻

1997.09

地球の接線を垂直に生くるタンポポ

貧脈鈍脈風くだる

弱さも神の豊かさカルピスすする

句点読点人生半ばを過ぎた予感

学校 リュックが不正な形で放置されている

ねおきの暗い人生論を立ち上げる

恥の文化も罪の文化も忘れちまった

時代/小学生「昔はよかった・・・」/老人「今が一番!」

お利口ゆえに愛を知らず

1997.08

薔薇食べて考える魔方陣

半ドアの風ぬるくロマネスクの椅子

政治家/はじめに言(ことば)あり/最後まで言だけ

親よりはデキルはずと思う親の愛と悲劇

1997.07

頑なな被写体に波寄せる冬のストーカー

緑青愛でる少女 昼の寺の

首絞める細い指 赤いリボン

煙草の火の落ちる速さで川の闇

飲みかけのグラスに映る顔がない

もつれる舌 人間コピーだった

ティシュひとひらひらひら母娘の息

自律神経ズレル気圧の山から谷

晩鐘のように母の小言を聞く

選ばれた人生か/選び損ねた人生か

1997.06

午前0時の水牛の背に乗る

息子頭を洗い俺首を洗う

1997.05

きのうがころがっているぼうふらのあした

晩祷のように母の小言を聞く

臨死体験ロス疑惑否定する

断食僧の吟行会ふわりふわりゆく

計り謀られる愛 思案橋界隈暗く

化膿する筋書きどおりの春でした

インターネット尼僧から来る離縁状

余計な肉は肉でしっかり生きている

息子よ!「別に・・・・」などという日があるものか

1997.04

早春賦流れる自律神経自立せず

蒼茫たる海へ霊柩車眩し

1997.03

閉じた日常のなかでサイボーグを飼う

風花や母を弔う道傾ぐ

長針が突く花園の無限級数

楔文字歩き出す夜更け腫物が気になる

闇によろけて羽蟻生命線を越える

夕暮れの情死一件ポット鳴く

復活の朝十ニ使徒コーラ一気飲み

天を仰ぎ地を這う蔓や離人症

少年に盗癖ありナルシスの微笑

1997.02

サバイバル万歳を見ている午前二時

馬刀貝やねたみもそねみも釜茹でに

俎はじめ凍結卵をぶった切る

真冬日のマンションに棲む聖マリア

最後の審判 夕日は警告しつづけた

入日ドラゴンの舌に帆を立て

わが領海へタグボート灰色の月を曳く

1997.01

上水浄土にて堕罪オサム掬われる

母というもの 不安を抱きしめ 暖め 糧とする

不信の時代夥しき匿名闊歩する

鳩下る水面きらめく父子の契り固く

汝己れの仕事を為せ カナの水は酒になる

天の子を世の父が探しあぐね一日路

朝まだき町へ村へ福音風(プネウマ)

昔の御力を今に 今もわれら煩い病む

人の子は股から生まれ天から生まれ

信不信 人の子乾坤を昇り降り

三日天下四六時中鳴くガマの家

三男祥吾われは神の小羊なり

荒れ野の試み四十日罪も世も過ぎ行くもの

御使いら昇り降りすべし汲取式便所

権威なき時代権力ひとり闊歩する

影は匿名 踏むがよい

一木に良い実悪い実 いつも隠れて在(いま)す方

闇に光を今日は今日一日を満ちる時

悪に押し出される善もある

わが患いわが罪をわれより知る神の子で

まむしのたうつ水と火の洗礼(バプテスマ)

まともに生きるは難し 世のせいじゃない

ふるさとに生死さ迷う午後一時

ぶどう畑に続編を刈るサマリアの女

エントロピー熱を叱りて母もてなす

ヨルダンへ荒れ野の叫び先駆ける

選び損ねた人生かも十二使徒の寝息

酔いどれ黄金虫 起きよ 手をのばせ

神は人の、人は神の、麦風やまず

傷んだ葦を折らず燻る灯心を消さず寄せくる波

主の食卓にあわれみを喰え罪と病を負う者よ

罪のゆるし 信頼は驚愕と賛美とに

激しき者こそ幸いなり夢の頭寒足熱

王様も百姓も虚栄と嫉妬で身を滅し

一時方向によじれた肢体 枕鳥肌立つ

掴み出す心臓の履歴や世紀末

人ひとの残像重ね透明人間

神は細部に宿る風に紛れぬ不整脈

蛇の恋 女(エヴァ)の口から風(ルーアッハ)

ある朝意志もち初めし金属の鼓動
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