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平田栄一求道俳句2001年発表作品  

2001年11月

妬み持つ蛇の誘い秋の夢

文字化けのパソコン愛(かな)し夏の闇

犬の眼で見つめる秋の波紋かな

世の意味を問うには暗き雷雨前

山仰ぐ鶴に黄砂降り止まず

蛇を飼う妻の白髪の増えしこと

冬景色から少女ひとり剥落す

低く飛ぶ海鳥の目の幼かり

晩年と思う夕陽や日々草

はにかむので見つめてしまう夏野かな

遠花火卑弥呼の郭(まち)に小雨降る

伝説へ棚引く雲やみずすまし

手帳から父の記録の失せし朝

知恵の実の如く林檎磨かれし

小さき死また一つ経てひと日過ぐ

抱き抱かれ裏表のない夏布団

清貧という遊行流行る世紀末

神経病む白くて長い腕の少女

死を語るほどロマンチックな春の宵 

産着の如死装束を着ていたり

サムシング・グレイト寒き街角に

五月雨にボール追う子のせな背(せな)光り

草笛に振り向く駝鳥目を細む

果実皆熟れゆく空へ少女降る

陽炎に揺れる無音の花電車

書き急ぐドストエフスキーの猛暑かな

カインの裔の暑背負いて鎌を研ぐ

異邦人こぞりて夏の涙かな

飽かず見る無名の街の茜雲

蒼白き夜のとばりの果て見えず

聖櫃に真向かう祈りが夏の冷たい手

2001.09

夢高く居眠り難き花水木

珈琲甘く入れ咲き初めし紫陽花の白さ

2001.08

命疲れ春宵に酌む赤ワイン

静かに暮れる日曜のバイエル

2001.07

夕暮れは風が出てきて春へ向かう庭

暮れ時の青さがうれしい紫陽花

暮れればしのぎやすいアンダンテ

静かな水面が誘う老人たち子供たち

叱られてなお陽のある夕べ

ここ二三日暑くなって日陰をつくる楓

2001.06

花のない木を風が揺らす木の影

風、美しく咲いてもの言わぬ

2001.05

夕陽に溶ける森 秘書が呼ぶ

悲しい風も三寒四温

諦め切れぬ思い見上げれば快晴

春の風が夜を待って強くなる

一日が雨の、向うの曲がり角

ちらつき止みちらつき飽かず春の雪

2001.04

原野に佇つ都市のささくれた夕日

車音近づけば虫の音遠退く

2001.03

卵かけご飯おかわり!竹の春

霧笛冴え渡る北窓開けて一服

書斎の戸は細く開けておく一日に読点

闇は無限大追伸長くなる

マタイ伝開く左右の手の温度差

コーヒー飲み干して闇の彼方のブラックホール

もう傷は癒えた月の満ち欠け

夕立雷鳴午後三時の時祷

眠れるだけ寝る祝日の雨

北向きの書斎で書き上げる武蔵野連作

前に虫の音うしろに遠雷

神の道具となれ吾が喜びとなれ

止められぬ煙草ふかして今日も好日

仕事一つ上げた自信で地に踏ん張る

降り止んで虫の音が戻る教会の庭

雨の日の香薫いて長い晩祷

ミサ後の聖堂一人ロザリオ

ふと目覚めて生死のことなどまた寝入る

バイトから帰った長男の背丈また少し伸びたような

ステンドグラス雷光に映えミサ粛々

2001.02

秋雨が夜のしじまを深くする門灯

風冷たく銃声こだまする

2001.01

生活の音カラコロさせて夫する

年の瀬迫る都市の長い顔

行として四百字が重い勤労感謝

祈りを忘れていた虚無が手のひらにある

希望失いかけて休日暮れる

どんより冬へ向う空へ歌ミサ
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