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日本人にわかるキリスト教を求めて

26May2012+011_convert_20120623181132_20120623222548.jpg井上洋治神父は、遠藤周作氏と共に、日本人の感性で正直に受けとめられるキリスト教を一生をかけて模索し、1986年「風の家」をはじめました。このサイトでは、「風の家」運動を引き継ぐ平田栄一が「求道俳句」ほか、日本人キリスト者の道を模索する試みを紹介していきます。お問い合わせ 略歴 著書

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求道詩歌誌「余白の風」第182号 2011年2月発行  

日本人の心の琴線にふれるイエスの顔を求め、福音を生きる

井上洋治神父の名言
一、決意
「時代的なもの、文化的なものを超えた普遍的なイエスの教えは、日本の風土にでもちゃんと根をおろし花を咲かせることができるはずです。・・・・
イエスがその全生命をかけて私たちに伝えようとなさったこと、真の人間の在り方とそこからおのずから湧きでてくる平和とやすらぎ、それを何とか日本語という素材の上に凝結させてみたい――それが私の心からの願いです。」(『日本とイエスの顔』北洋選書版、まえがき)

 この「まえがき」は、現在発行されている日本基督教団版にはないものですが、のちの「風の家」運動へつながる、井上神父の最初期の決意表明といえましょう。

たしかに「普遍」とは、「文化」や「時代」を「超えた」ものではありますが、その「イエスの教え」の普遍性は、文化や時代と一体となって表現されてくるものでもあります。おかしなたとえかもしれませんが、透明人間が服を着なければ私たちに認識できないように、イエスの教えもそれぞれの文化という服を着なければ私たちに理解できないのです。

 井上神父や遠藤周作氏が「踏み石」になろう、「仕立て直そう」とした服――日本人にぴったりの福音の服――しかしそれは、このお二人にお任せしておけばよい、というものではありません。わたしたちもそれぞれの小さな立場で、この仕立て直しの作業に協力したいと思います。「日本語という素材・・・・」まさに、求道詩歌は、その直接的試みなのです。

――「風」アッバ讃句応募規定(試案)――
 井上神父の「アッバ讃句」にならい、皆さんの南無アッバの祈りを短い求道詩歌にしてお送りください。「~~南無アッバ」という形のほか、俳句・短歌・川柳・自由律・一行詩などでもけっこうです。(採否選者一任)

会員作品とエッセイ
京都市  瀧野悦子
ミサに行くポプラ並木の銀世界フランシスコの広ごる世界
大路まで近づいてくるミサの鐘静かに流れ静かに歩く
冬日差す歌隊の席の小座ぶとんゆっくり座り十字架を見る
本当のことはほんとに言へないの元気元気と強がりの君
願ひごと二つ三つと指を折りあっという間に十指になりぬ

*①「世界広がる」の方がいいかも。②鐘の音はアッバの呼び声③何気ない所作にアッバに向く心が整う。④強がっても、神様だけはすべてわかってくれています。⑤折った指を一本ずつ開いて南無アッバ!

稲城市  石川れい子
初夢や人類ひとつ地球号
天神の紅梅にほふ初卯の日
寒月や琵琶湖に写る夜の静寂

  カウントダウン
 月の兎が言いました 地球の星へ行きたいと。着陸したのは日本で 四方が海の国でした 地球の空気は美味しくて 山川草木美しく お花も咲いておりました

 月の兎は植えました 土とお水と太陽と みんな揃ったその中にいのちの種をまきました 芽が出て枝が出て 太い大きなその木には たくさんの実が成りました

 月の兎はお母さん 卯年に生まれた母さんは 卯年に月からお迎えが もうすぐそこへやってきた ありがとうお母さん お母さん お母さん 呼び続けたいお母さん かけがえのないお母さん 私の心のふるさと。

*洋の東西で「月」に対するイメージは相当違うようです。でも日本では儚さ・神秘性・母性を感じる象徴のようです。月に向って南無アッバ!

八王子市  井上文子
修正がまだ出来ますか古稀の道
はっはっはっ幾山河を越えた顔
夕やけに満たされ帰る南無アッバ

*①死の瞬間まで人は変わる。②うらやましい、憧れの境地。③お母さんと手をつないで帰った道での「夕やけ」

アッバ讃歌   練馬区  魚住るみ子
佳きことのひとつありたる今日終る薫る白梅南無アッバ

*アッバ讃歌としての投稿第一号。どんな「佳きこと」があったのか。「薫る白梅」を通して、アッバへの感謝が生まれます。

名古屋市  片岡惇子
去年を脱ぎ今年を生きる流る水
枯枝に光当たりて命見る
頑な人ぶつかり寒卵
風花や人なぜ愛に飢えるのか
福音を分ちてつつく寄せの鍋

*①過去を脱いで今を生きる、水は生きている。②「枯枝」だからこそ光る命。⑤「福音」のなかに、「共に」ということが織り込み済みなのかもしれない。

石垣市  河口儀子
初東風に雲満たされて波アッパ
冴え冴えと月にあい添ふ一つ星
小夏日や皺手のめくる潮暦

*①「波アッパ」は南無アッバの連想か、ユニーク。②先日わたしも明けの明星と三日月のランデブーを見ました。③「小春日」を言わない石垣。

大和市  佐藤悦子
愛猫にルカと名付けし南無アッバ聖書深読 親しめるかな
絶えがたき寂しさ語る病む友の電話をききて南無南無アッバ
四十年添いたる夫よ南無アッバいのちの絆神の愛なり

*①「南無アッバ」の心が「深読」を、きっと可能にするでしょう。②けっきょく人間には何も出来ない、という無力のなかで・・・・。③ご夫婦とアッバだけが知ってる歴史。

豊田市 佐藤淡丘
土の道百の面(かお)あり風光る
家壊し寒月光のこの地病む
雪兎坪庭にある息遣い
鴨の池同じ深さを保ちけり
門松を立て教会の門広くなる

このところ、土の道の暖かさが、しみじみ分るようになりました。早朝散歩を丘の上から池の端に切替えてからの恵み、それが土の道でもある。土の道は、泥の道でもあり、私の好きな俳人山頭火に次のような句がある。
 雨ふるふるさとははだしであるく
没落した生家の屋敷跡を訪ねた行乞者としての悲しみが、泥の足と重なり、自分の境涯に照らして身に沁みるものがある。
今朝も一歩一歩確かめるように池を巡り、水と土との妙なる融合を感じ、不思議な世界に身を預けたものでした。

*山頭火は「土」や「石」の句もたくさんつくっていますね。「土はひとりでに実を結ばせる」という『マルコ』四章の言葉を思い出します。

一宮市  西川珪子
門松に吹く風平和のいろになり
初釜や初雪縁起の良しと云ふ
読み返す賀状の繋ぐ愛の糸
脱兎の如夢追いかけよ新成人

*①「門松」のみどりの風がみえる。②「縁起」の思想には学ぶべきことがたくさんある。③はがき一枚だからいい。④いつの時代も夢は消えない。

蓮田市  平田栄一
お迎えはいつ来てもいいと微笑みて八十路間近に洗礼を受く
ヨハネ伝十四章まで読みたれば托鉢僧は鉦たたき来る

寄贈誌より
「日矢」五五二~三号  新堀邦司
着膨れて世に疎まれてゐるごとき
余生にも日の当たりけり帰り花
茶の花や遠き日のこと父のこと
母を恋ふごとくに冬日恋ひにけり

「バルトと蕎麦の花」を読む(2):平田栄一
 「はんぐろ」さんの許可を得ましたので、抜粋転載を続けます。

「短編のタイトルの由来は、K牧師が、20世紀に於けるプロテスタント界の思潮を決めた一人とされるカール・バルトの影響を大きく受けていたことと、伝道所の周りに蕎麦が植えられていたことによるものらしい。

 今まで一度だけ伺ったことのある信濃村伝道所のクリスマス礼拝で、K牧師の説教は聞いているのだが、非常に朴訥だが、心に秘めた篤い思いを持つ方だと感じていた。この短編を読んで、その感じが一層強いものとなったわけだが、伝道所在任中は、野尻湖の違法観光船問題などにかかわり、伝道所を留守にすることが多いと、教会員からの不満があったそうだ。牧師といえども、教会員のみならず、地域社会との共存、共生を考える必要はあろうし、豊かな野尻湖や黒姫の自然と、平穏な暮らしを、住民とともに求めようとしたのは至極当然の動きであったろう。

 この短編を読んで、もう一度K牧師に会ってみたい気にもなったが、現実的なことが見えて来ない、心の中だけの想いに留めていた方が良いかもしれない。もう一度、一行一行をかみ締めながら、この短編「バルトと蕎麦の花」を読み直してみたいと思っている。」(以上、http://kurohime.homeip.net/kuro/より)
ちなみに、まったく偶然ですが、「はんぐろ」さんは、学生の頃、信濃町の真生会館に通ったこともあるそうで、井上神父の本も読まれたそうです。(つづく)
―――――――――――――――
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