「南無アッバ」を生きる ホーム » 求道詩歌誌「余白の風」 »第173号 2010年5月発行

第173号 2010年5月発行   

*本誌は、井上洋治神父の提唱する日本人のキリスト信仰を生きるため、詩歌を中心として、共に道を求め、祈り合うための会誌です。

井上洋治神父のうた

さがしもの/今日も半日南無アッバ

しのびよる老いの重みに/南無アッバ

*右句だけ取り出せば、滑稽な、微笑ましささえ感じるが、左句を含む一連の「アッバ讃句」を読むとき、老いという試練、「重み」が伝わってくる。それだけに、「さがしもの」が見つかった喜びは、「ルカによる福音書」15章のように大きなものなのだと思う。


会員作品とエッセイ(*主宰句評)

立川市  新堀邦司

母と娘の話はづむや春隣

三寒に遊び 四温に籠りけり

ヴィバルディ聴きて光の春を待つ

絵文字メイル届きてバレンタインの日

武蔵野に残る小道や節分草

*ほほえましい家族の風景。四季折々を巡っていく人生の一こま一こまに、アッバへの感謝の念があふれています。


一宮市  西川珪子

眠りから目覚めし山の雪淡し

仰ぎ見る桜は天に南無アッバ

花見酒遠き思いの人と人

ぼた餅を供えて一人の彼岸かな

凛としてイエスは佇てり土筆伸ぶ

*「一人」居の静かな住いに春が訪れる。桜を見上げ、イエスを偲ぶ。自然をうたうキリスト者の語り口。


秦野市  長谷川末子

花水木大きく見へる今年です

叱る声泣く声のして暮の春

葉桜に思い出一杯ありがとう

著莪の花一人住いの竹垣に

夕食も済みて恵みの日を過ごし

若い夫婦と乳母車/社内は急に和みます/中年女性は嬉しくて/「ばぁばぁホ、ホホ」とあやします/坊やの瞳は澄んでいてじっと相手を/見ています 女性はそっと離れます/乳児は右の中指をお口に入れて/しゃぶります ママが気付いて頬に手を/坊やはさっと手を払い瞳を閉じて又開く/乳児の世界の一端を垣間見たよな一風景

*やや日陰に生える「著莪」(シャガ)の花。日常の目立たない風景に、しっかりした観察眼が光ります。


蓮田市  平田栄一

この冬は知人三人うしないて四人の友を新たに得たり

イヴだからというわけでもないのだがぬるめの風呂に首までつかる

「掟」たる「愛」とはいったい何だろう憲法記念の日はよく晴れる  ヨハネ13・31~35

*春になってもつい最近、南無アッバミサでいつも朗らかに、香部屋を担当してくださっていたシスター小泉が急逝されました。皆様、お祈りください。


世田谷区  広谷和文

韓国(からくに)の路地に流るる受難曲

息白くイムジン河を渡りけり

アリョーシャの国へ白鳥帰りけり

*韓国での旅行吟。「受難曲」「イムジン河」への想い、さらに「アリョーシャ」の祖国ロシアへの、作者の思い入れは一入大きいことでしょう。


稲城市  石川れい子

十人も食わせた父さん南無アッバ

金婚にみんなの手紙南無アッバ

病魔とも仲良く生きよう南無アッバ

委ねきる心をください南無アッバ

*井上神父の「アッバ讃句」は、求道詩歌がめざすところのお手本であるとともに、原点ともいえます。


八王子市  井上文子

無防備な背を晒して花愛でる

泣きごとはアッバの胸に吸いとられ

十字きる願いはすでに届けられ

手抜きせよデビルささやく介護の手

明治から母のクルスに錆はなく

*初投稿ありがとうございます。求道川柳というのも面白い。楽しみです。末永くお付合いの程。


名古屋市  岩崎姫公子

マリア笑む絵は春陽受け絵画展

十字架の道行き静か春の雨

菜の花や車椅子より愛でし母

石段の隅に打ち豆春の朝

*「車椅子」の目線から見る「菜の花」は、健常者とはまた違った発見がありましょう。


練馬区  魚住るみ子

頒ち合ふ思ひをこめて便り来ぬ傍へにほのかストック薫る

佳きことのひとつありたる今日終る戸を閉ざしゐて薫る白梅

ほのぼのとかく明らかに見する影胎に宿れるいのちのはじまり

ほのぼのと春風ぞ吹く放鳥のトキ産卵のニュースを見出で

この秋に曾孫を見る予定なのですが、最近、十週以前の診察で同時に写真を撮り正常を確認し、そのフィルムを見て強いインパクトを受けました。トキ産卵は四月七日、朝日新聞夕刊で短くはっきり報じていましたが、以後どのメディアもぴったり沈黙し、トキの環境を守っているようです。

*お目出度で、楽しみですね。「薫る」「ほのぼの」とも題詠としてピタリの詠いぶり。


名古屋市  片岡惇子

花筏時間を解きて旅立ちぬ

葱坊主黙して語る生き様は

一輪の花の散り様十字切る

柿若葉主の中に居て瑞瑞し

年重ね軽く成り行く藤の房

*植物の生態、特徴をよく観察し、「キリストの体」として優しく見守るまなざしが感じられます。


石垣市  河口儀子

陽だまりに背をむける子やるりはこべ

差し潮の浸すひるがお夕永し

文殻にむらがる蜷や春光り

*「陽だまりに背をむける」とは一見、後ろ向きの姿勢ですが、「陽だまり」はアッバの御手。後ろから抱き取られている信頼と安心。


大和市  佐藤悦子

復活祭 ウグイスと共に南無アッバ

御復活世に現れし主を尋ね使徒行録のページを探す

まっ先にマグダレナこそ主を見たり復活の朝ミサ急ぎ行く

疑えどトマスの恵み我にも賜うありがたきかな永遠(とわ)のいのちよ

*四首目第三句「吾(あ)にもあれ」など五音がよろしいかと。また四句「かな」五句「よ」の詠嘆の重なりは推敲の余地があるようです。


豊田市  佐藤淡丘

落花一片余白の風をみつけたり

水源を辿るうれしさ若葉風

語るかにエマオの道の葱坊主

水脈の淋しからんに落花飛花

さざなみし水を平らに遠蛙

 マザー・テレサ生誕一〇〇年記念の映画祭が名古屋の小劇場で催され、二本立てを含め二度も観て来ました。そこから得た教え、さとしは沢山ありますが、中でもいちばん胸に刺さった言葉は次のことでした。
 「遠くにいる人を愛するのは簡単なことです。反面、一緒に生活している人たちを愛するのはいつも易しいわけではありません。」
 そうなんです。周りにいる人を、ついバカにしてしまう、嫌いなあの人を遠ざけてしまう。そんな私の心に許しと静けさをお与え下さる方、主イエスさまにおすがりする他にありません。今朝も丘に登り〝南無アッバ〟を唱え賛美とあわれみを祈ってまいりました。二〇一〇年四月二十五日。

*理想に程遠い私たちを、暖かく包み込んでくださるアッバに、まず頭を下げる姿勢を学びたいものです。


後 記

 連休からいきなり夏が来たような陽気になりました。皆様、お元気ですか。新しい会員を迎え、沢山の御出句ありがとうございます。
 五月八日は井上洋治神父様の司祭叙階金祝記念の南無アッバミサが行われます。事後になるかもしれませんが、一言なりとお祈りいただければ幸いです。
南無アッバ(栄一)

○年会費について:会員の皆様には、いつも本紙発行のためにご協力いただき誠にありがとうございます。
 さて何人かの方から、年会費についてご心配くださる質問をお受けしましたので、改めて確認させていただきます。
 当年会費は、入会月に向こう一年分二千円を前納いただくことになっております。そして、会費が切れる頃に、こちらから振込み用紙を同封いたしますので、それで新たな一年分をお支払いください。
 したがって、各会員の入会時期によって、納入時期が異なりますので、ご了承ください。


*初心の方はもちろん、どなたでも、賛同される方の参加をお待ちしています。(原稿採否主宰一任)
*締切=毎月末 *年会費二千円(半年千円 誌代送料共)
*入会案内 余白メールへ。
*ご意見ご感想をお寄せ下さい。
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