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日本人にわかるキリスト教を求めて

26May2012+011_convert_20120623181132_20120623222548.jpg井上洋治神父は、遠藤周作氏と共に、日本人の感性で正直に受けとめられるキリスト教を一生をかけて模索し、1986年「風の家」をはじめました。このサイトでは、「風の家」運動を引き継ぐ平田栄一が「求道俳句」ほか、日本人キリスト者の道を模索する試みを紹介していきます。お問い合わせ 略歴 著書

井上洋治神父からの手紙 2002年  


急に寒くなってきました。

その後、風邪と体調の方は如何ですか。

一日もはやく体調がもどられますよう

祈ります。

プネウマの原稿有難うございました。

小生の著作、考えを、ここまで深く

読みこんでくださったことに深い

感謝の念を禁じえません。同時に

あなたとの出会いをくださったアッバの

おはからいに、何か不思議な思い

を感じさせられています。

小生は夢中になって祈り、考え、書い

ているだけなので、このように、きれいに

整理していただいたものをみていると

ある種の感慨をおぼえます。

私に与えられたこの地上での役割は

間もなく終ると思いますが、平田さん

たちの活躍で、儒教や武士道と結びつ

いた道徳的キリスト教ではなく、アッバの

息吹き(プネウマ)の奏でる造化の子守唄

をイエス様と共に南無アッバの心できく

キリスト教が、日本の人々の心をやわらげ、

救いあげてくださる日の来ることを祈って



います。

どうも有難うございました。

寒さに向う折、どうぞくれぐれも

御身体大切に

十月三一日       井上洋治

平田栄一 様


02.11.4(月)返信

井上洋治神父様

前略、ご丁寧なお手紙有難うございました。

最初に、あまり感動しましたので、また勝手ながら、私のホームページに掲載させていただきましたこと、お許し下さい。

実際、井上神父様の生の声をお聞きしたいと思ってこのホームページにアクセスしてくださる方が多いのです。今後ともあまりに私的なことは別にして、できるだけ私信なども公開していくことをご許可いただければ幸いです。

さて、今回(「井上神父の言葉に出会う」=「風」62号掲載予定)の原稿は、明治以降の日本のキリスト教史を包括するような部分があるので、もしかしたら先生から書き直しを命じられるかもしれない、と覚悟していたものですから、正直ほっとしています。

実際少し勉強してみますと、日本のキリスト教の問題は、まさに日本精神史・文化史にまでも踏み込んでいくような大問題を含んでいるように思えます。ちょうど仕事上、昨年・今年と続けて「日本史」古代~中世も授業担当しているので、日本の仏教受容と儒教受容についても、さらに研究していくつもりです。

私の体調の方は相変わらずです。先月に風邪をひいて以来、持病の自律神経症状を様々併発しており、なんとか日々しのいでいる、という感じです。先生はじめ多くの方のお祈りだけが支えになっていることを、実感しています。本当に有り難いことです。

井上神学の理解についての過分なるお言葉、恐縮です。

私にとっては、今や、キリスト信仰と先生の諸著作・思想の研究は、誰のためでもない、何よりも私個人にとって切羽詰まった問題なのです。

先日、山根さんと四谷で飲みながら話していて、「元気がいいときは既存のキリスト教でもいいけど、人生のいろいろな苦しみに突き当たって気持ちが萎えているときは、やっぱり井上神学や遠藤文学が一番だね」という結論になり、二人で大いに盛り上がったものです(笑)。

元気があるときは、「勇ましく信仰の道を歩こう!皆さん、罪を犯してはいけません!キリスト者たるもの愛を実践しましょう!・・・・」といいます。こういう態度は、頼もしくはありますが、ややもすれば押しつけがましい道徳主義に陥り、イエスが最も嫌った「人を裁く」危険性があります。そして自分自身をも裁き、いつか息が切れる・・・・今まで、そういうキリスト者をたくさん見てきました。

私自身も若い頃、そうだったかもしれません。しかし、キリスト者たるものこうあるべきという態度が、仕事に挫折し、今のように身体の状況がままならず・・・・「あなたとの出会いをくださったアッバのおはからいに、何か不思議な思いを感じさせられます。」この先生からのお言葉は、まさに今のわたし自身の思いでもあります。

私のような強欲で傲慢な人間は、挫折や病気がなければ、イエスにも出会わなかったし、井上先生の思想にも触れようとしなかったでしょう。若い頃の私の野心を思い返すなら、もし頑強な精神と肉体があったならば、私は間違いなく無信仰で、傲慢な出世コースを目指したに違い在りません。

しかし神にあっては、そうは問屋が卸さなかったのですね、呵々。「おまえはそうじゃない。こっちの使命=日本のキリスト教のために、井上神学を世に紹介せよ=を果たしなさい。」今は、そう言われているように思えてなりません。井上神学の宣伝・・・・そういえば私は商学部出身でした(笑)。神さまがこんなところまで見越して、私のいい加減な大学進学の動機を御利用くださっていたとしたら、すごい!

遠藤先生の晩年の境地、「人生に無駄なものは何一つない」と実感をもって言えるまでには、正直まだまだ自信がありませんし、もっともっと神さまからの課題をクリアしなければならないのでしょうね。しかし、これも山根さんとの話、「でも、ぼくたちは進むべき方向は決まっているから、幸いなんだね。」

「私に与えられたこの地上での役割は間もなく終わる・・・・」。山根さんも最晩年の遠藤先生から同じようなお言葉をいただいたと聞いています。まことに淋しいことですが、微力ながら、井上神学の精神的リレーの一走者として、できるかぎりの努力をしていく所存です。

今後とも、ご無理をなさらず、後に続くわたしたちのために、日本人キリスト者のために、「祈り、考え、書いて」くださいますように。そのために先生のご健康が守られますように、お祈りします。

草々

平田栄一拝

category: 井上神父の思い出

thread: 聖書・キリスト教

janre: 学問・文化・芸術

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コメント

井上洋治神父さま追悼ミサ・神父さまを偲ぶ会では、お世話になりました

平田先生へ

先日の「井上洋治神父さま追悼ミサ・神父さまを偲ぶ会」ほんとうにすばらしい時間を過ごさせていただくことができました。

やっと桜が終わり、風がまだ肌寒い新潟を発って東京駅に降り立つと、そこは暑いくらいの晴天、満開のハナミズキが迎えてくれました。
会場に着くと、懐かしいお顔がたくさん、ふっと井上神父さまの最終ミサの思い出が脳裏をよぎりました。

御ミサの司式は伊藤幸史神父さま、ほんとうに感動しました。
井上神父さまのお志しをまっすぐに受け継がれた伊藤神父さまでなければ語ることのできない、気迫と決意のこもった凛としたお話でした。

伊藤神父さまは、そのお話のなかで、各々がそれぞれの生活の中で「南無アッバ」の心を体現してゆくことが大切という観点をお話下さいました。
私も心からそう思います。
人生は決断と受容の連続、いかなる現実も、「御手から受け取ることによって」、その時の自分に一番大切な、アッバからの恵みと考え、喜びのうちに受け容れること、そして、同伴者イエスさまの温かなまなざしを感じつつ、いつも前を向いて歩んでゆけること、そのことこそがイエスが私たちに残して下さった「心の平安」すなわち「神の国」であるのだと思います。
そのためにはまず人生の主役をアッバにお預けすることが不可欠、それを日々自分に気づかせるお祈りが「南無アッバ」。
「南無アッバ」のお祈りは、まさに私たち日本人にぴったりの万能薬です。

イエスさまのみ教えをピュアに突き詰めてゆくと「南無アッバ」に結晶する、という井上神父さまのご結論、まことの宗教者が生涯を賭けて到達された境地には、迷いのない決然とした潔さがあふれています。
それを井上神父さまは「南無アッバのお祈りが捧げられているとことろ、そこに風の家はあります」と表現して下さったのだと思います。

平田先生はじめ、伊藤神父さま、山根先生と、各分野ですばらしい後継者が活躍されていることは、井上神父さまのお教えのすばらしさの何よりの実証です。
イエスさまのみ教えが、その後の使徒たちの働きによって、広く正しく理解されたように、これらの神父さま、先生方のお働きにより、井上神父さまのお教えも、その真価がますます正しく評価されることでしょう。
また、そのお導きを受けた私たちひとりひとりが、それぞれの生活の現場の折々で、南無アッバの心を改めて刻み続けること、そのことこそを井上神父さまもきっと望んでおられるに違いありません。
そんなことを思いながら、東京を後にしました。
                    南無アッバ

    

mitakaforest #pKCONESw | URL
2014/04/29 16:40 | edit

私も強欲で傲慢でコントロール・アジェンダが強くてつらい気持ちを回避したい!という思いが強いです(>_<)だからこそ南無アッバでコントロール・アジェンダを手放しアクセプタンスに向かう、これもアッバの計らい、という文脈が大事なんだろうなあありがとー(≧∇≦*)

nakamura795 #- | URL
2014/09/06 08:20 | edit

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