「南無アッバ」を生きる ホーム » 求道詩歌誌「余白の風」 »第164号 2009年 8月発行

日本人にわかるキリスト教を求めて

26May2012+011_convert_20120623181132_20120623222548.jpg井上洋治神父は、遠藤周作氏と共に、日本人の感性で正直に受けとめられるキリスト教を一生をかけて模索し、1986年「風の家」をはじめました。このサイトでは、「風の家」運動を引き継ぐ平田栄一が「求道俳句」ほか、日本人キリスト者の道を模索する試みを紹介していきます。お問い合わせ 略歴 著書

第164号 2009年 8月発行   

Copyright©1990余白平田栄一,All rights reserved.

前月号推薦句

紫蘇畑の風下に佇つユダ悲し   淡丘

主宰近詠
蓮田市  平田栄一

何もかも残さず天へ鳥帰る

春昼や墓掘る人の力瘤

花曇この頃とみに人嫌い

まだ温き額に触れし春の朝

ことのほか進んだ仕事の手を休めふと深淵の淋しさに落つ

夏休みあれよあれよと半ば過ぎ男系家族の母はおしゃべり



作品とおたより(*主宰寸感) 

秦野市  長谷川末子

わっしょいと心躍るや梅雨明ける

梅雨明けの期待夜空の星を待つ

梅雨明けに対で貰ひぬ布草履

猫も人も通らぬ通り猛暑来る

パンパンと夜具を叩いて引き入れる


  初夏の雨
目の前を雨が降るよ/音立て太い雨が降るよ/樹々はたっぷり慈雨の中/小鳥の声も高くなる/頭を垂れた紫陽花に/梅雨の思い出甦える/季節は移り変るけど/神の御恵み変りなく/天にも地にも満つる神/主よ御父よと手を延べる


*梅雨明けから本格的な夏へ。それにしても今年は各地で大雨の被害が続出。一過性のものか異常気象によるものか、人間業の温暖化に関係するのか・・・・様々な憶測が飛び交います。でも振り返るべきはいつも同じ、「神の御恵み変りなく/天にも地にも満つる神/主よ御父よと手を延べる」南無アッバの心です。


練馬区  魚住るみ子

白粥のふっくら美味し余寒かな

老司祭よりカード賜ひぬイースター

ミサ中(なか)に慎み朗読なす聖句聞きたまふ会衆の静寂(しじま)畏し


*第二句、日本では年賀状や暑中見舞いなど、定期的なものがほとんどですが、海外ではグリーティングカードの交換は、様々な折にされて喜ばれますね。お金をかけずに喜ばれるものは素晴らしい。


名古屋市  片岡惇子

百日紅燃え尽きる時無風なり

黒日傘優しき人に翳造り

夏草の弱さ見つけし床の間に

瞬きや同伴者忘れサングラス

蝉時雨今日の明かるさ委ねきり


道一本隔てた公園から夕方になると、甲高い子供たちの声が、いつもしていました。
夏休みに入って、ぴたりと聞こえなくなりました。家の裏は、空地になっていて、今は雑草が背高く蔓延っています。二階の窓から空地の真中辺、ダンボール箱、コンクリートの土管、大石などが集められたのが見えます。秘密の遊び場のようです。そこからも聞こえなくなりました。

時々姪が三歳と五歳の男の子をつれて立寄ります。二人の子は、嵐のごとく駆けずり回り、家中のものを散らかして帰って行きます。姪は申し訳なさそうにしますが、元気の証拠だから気にしなくても良いと、伝えてあります。

遊び回っている子どもたちを見るとほっとします。子どもたちには、泥んこになり、汗をかき、時にはけんかをする体験をしながら、逞しく育っていってほしいと、願っています。それにしても、子どもたちは、どこへ消えてしまったのでしょうか。

*「無風」ゆえに百日紅の炎が湧きたちます。「黒日傘」ゆえ、なおさら人の「優しさ」が際立ちます。俳句は短いがゆえに、二物のコントラストで物語ざるをえない。そこがうまくいけば、一冊の小説にも匹敵するほど多弁です。


豊田市  佐藤淡丘

犬の舌吐き出しゝまゝ油照り

群雲に帰燕近しと高く舞ひ

太宰読む火蛾をピン止めせしごとく

にいにいの聲で明けゆくピアニシモ

川筋の黒き集落合歓の花


こんなことを書くと、なにか自慢気に映るかも知れないと危惧いたします。どうかお許し下さい。
とある福祉施設の掃除ボランティアを始めて、今年で丸六年を迎えますが、夏場の清掃(食堂・風呂・トイレ)は、汗との戦いでもあります。そんなとき、フトなんのためようなことを続けているのだと煩悶することもしばしばあります。

そんなとき、私の好きな内村鑑三語録集を想い出すことにしています。即ち、
「勤労の報酬は満たされた良心である。さらに尽くそうと願う決心である。」そして更に「欲心の減じることである。」と・・・・。

 鑑三先生、ほんとうに参った、まいった、わたし降参です。南無アッバ。

*第三句、「太宰」は相変わらずの人気のようですね。町のそんなに大きくもない書店にも、次々と再版が並んでいます。「火蛾をピン止め・・・・」こんな情景が作品中にあったような(思い出せない)・・・・いずれにしろ巧い斡旋ですね。


東京都  外野愛子

  ストーリー
もがいて描いてゆく/人生という物語//僕達は/今日という日を必死に生きて/誰かに何かを伝えようとする//僕達の目には/明日を見ることが出来ない//だから僕達は/今日という日を/一生懸命に生きるのかもしれない//もがき苦しみながら/僕達は人生という物語を/紡ぎだしていく//誰かの心に残ったり/誰かの希望になったり/誰かの心の支えになっていく//僕達の人生という物語は/誰の手にも消すことが出来ない


*もし「誰かに何かを伝えようと」しなくても、人生は、ある人の人生を横切った途端、その人の人生を変える、そして自分も変えられる。遠藤周作さんも確かそのようなことを言っていたと思います。歳をとってくるとますますその感を強くする。


立川市  新堀邦司

散髪を済ませて衣更へにけり
妻は
ラムネ飲む少女のごとき仕種して

花菖蒲降る雨もまた美しき

ものわかりよくなりにけり甚平着て

無頼なる君なつかしや太宰の忌

(「日矢」八月号より)

*「少女のごとき」奥様や「無頼なる君」(ここにも太宰が健在!)、そして「甚平着て」「ものわかりよく」なった自分がいる。私たちが何気なく過ごしている時間とは、過去と(おそらく未来も含む)現在を生きるということではないでしょうか。


講座「井上神父の言葉に出会う」のお知らせ

日時:八月二十二日(土)午後一時三〇分~三時
場所:四谷駅前ニコラバレ会議室
講師:平田栄一 受講料:千円(当日)
内容:井上洋治神父の言葉をどのように読み解くか、初心の方向けに、ご一緒に考えます。
ご注意:今月は定例の南無アッバミサはお休みですので、井上神父様は講座にはいらっしゃいません。


新刊『すべてはアッバの御手に』出版にあたって:平田

このたび、「風(プネウマ)」誌に連載中の「井上洋治神父の言葉に出会う」第二部(十一~二十一回)を加除訂正したエッセイ集『すべてはアッバの御手に』を、聖母の騎士社より出させて頂きました。

すでに〇五年十二月、同連載の第一部(一~十回)をまとめ、『心の琴線に触れるイエス』(同文庫)として出版しましたが、本書はその続編となるものです。

「あとがき」にも少し書きましたが、正直に告白しますと、この連載はまったくの偶然といいますか、不謹慎な言い方をおゆるし頂けるなら、世間でいうところの「酒の上の話」がきっかけで始まったものです。

すなわち今から数年前、「風」編集室の山根道公氏(ノートルダム清心女子大学キリスト教文化研究所准教授)と四谷で一杯飲んで、拙宅で二次会をやっていたときに、こういうエッセイのようなものをわたしが書く、ということになったのでした。

つまり酒の勢いも手伝って、何をどう書くか、何回書くか、ということもまったく考えず、承諾してしまったというわけです。

「風の家には呑兵衛が集まる」とはだれが言い出したことかわかりませんが、振り返ってみると、わたしも御多分に洩れず、井上神父様との出会い当初から、お酒に縁があったことはまちがいありません。このあたりのことは本書「プロローグ」でも触れています。(もっとも酒の上の失敗も数知れないのですが・・・・。)

 そんなことをつらつら考えてみると、ほんとうにアッバさまは巧妙な方なんだなあ、と感心せざるをえません。お酒も、うっかりも、失敗も、ありとあらゆるチャンスを使って(作り出して)アッバはわたしたちをご自身の懐に導いてくださる。

アッバと神父様をはじめ、今日までわたしを導いてくださったすべての人に改めて心よりお礼を申し上げたいと思います。

*定価は税込み五二五円ですが、出版記念サービスとして著者直送サイン本限定一〇〇冊分については郵送料・税サービスとし、一冊五〇〇円にてお分けいたします。著者連絡先まで直接お申し込みください。


○本誌は、井上洋治神父の提唱する「南無アッバ」の心を生きるため、俳句を中心として、共に道を求め、祈り合うための月刊誌です。
A4版2頁見本


○どなたでも、賛同される方の参加をお待ちしています。(原稿採否主宰一任)○締切=毎月末 ○年会費二千円(半年千円 誌代送料共)

○投稿先:余白メールへ。

category: 求道詩歌誌「余白の風」

thread: 求道俳句

janre: 学問・文化・芸術

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